手術見学を終えて
今回手術見学を終えて、実際の術中を目の前にして学んだことをまとめた。
手術は患者にとって未知の体験であり、手術を受ける患者は入院してから
手術を受けるために事前に医師や看護師から様々な説明を受け情報を得るが、
かなりの不安を持っているため手術室入室から麻酔導入までの患者の不安に対し
精神的ケアをすることが大切だと思った。
病棟の看護師から手術室の看護師への申し送りが終わり、
手術室の看護師は患者を温かく迎えいれ患者の不安を軽減する。
看護師の落ち着いた態度や声かけは、患者の緊張感や不安を軽減していたように感じた。
そして看護師は、処置を始める前に説明したり、そばで手を握っていたり、
寒さを感じないように掛物をかけ保温に努めることによって、
患者に起こりつつある現状を納得して受け入れていく準備の助けとなることを学んだ。
看護師は、患者の代弁者となり、緊張や不安、また術前処置、麻酔などで患者は
自分の意思・考えを表現出来ないことが多い、それらが尊重されるように十分に
配慮することが大切である。
そして、麻酔中の患者は、麻酔の深度・手術体位・使用する器材によって
受ける手術での侵襲は異なるため患者の安全を確保する。
これらは術後の回復過程にも大きく影響するため術中の患者の観察は重要である。
患者に麻酔がかかり、気管チューブをしっかりと固定したら、手術に必要な体位の固定が始まった。
手術中体位がそのまま保持されるように体位の固定には時間がかけられていた。
今回は、THA(人工股関節置換手術)であったため、半側臥位で行われたが
手術中の同一部位への圧迫・循環障害が起こらないよう、クッションの活用で除圧に努め、
また神経麻痺をおこさないように、神経の圧迫や腕の過伸展に注意されていた。
手術時間が長時間となるため、上半身には掛物をかけ保温されていた。
そして、手術中の多量出血予防のため手術する下肢の膝下から
足先にかけてテーピングが巻かれていた。
末梢部位の手術では、タニケットが使用されるが今回の手術部位は股関節であるため、
タニケットが巻けない。
このように患者の個別性を考慮したさまざまな工夫が必要である。
そして術中の看護としては、バイタルサイン・出血量を測定し体温を保持することが重要であり、
医師とともにモニターでのバイタルチェック、またガーゼの枚数や器材に付着した
出血量の測定に努めていた。
また麻酔中は気道閉塞・意識障害・出血による循環障害・電気機器による火傷などを避けるため
確実な方法を実施し観察していくことが重要であることがわかった。
また手術室では、直接介助看護師と間接介助看護師に役割分担されており、
直接介助看護師は無菌的操作で手術に必要な器材を準備し、術中は手術の進行にそって、
無菌的な操作で器材を直接医師に渡し、また手術の進行によって次に使用する
物品の予測や状況に応じて使用する器材を用意するなど、手術がいかにスムーズに行えるよう
臨機応変で迅速な対応がなされていた。
また間接介助看護師は患者の心身両面の準備をし、手術全体が円滑に進行するように、
手術室の室温・湿度・照明・手術部位が撮影されるカメラの位置の調節、
また医師がリラックスできるよう音楽が流されていた。
今回の手術見学を終え、麻酔や手術のために依存状態におかれている患者の不安・緊張を和らげ、
安全を守り、さらに手術が円滑に進むように準備をし、他職種との連絡・調整を
行うことが大切であるため、看護師の担う役割は大きいものであると感じた。
この経験を生かし、病棟での術前後の患者の看護に役立てていきたい。
また手術看護師は、患者に行われる手術の方式、器材などについて熟知し、
準備を万全にし、看護師のこれらの準備が患者の安全を守る基盤となり、
同時に手術を実施する他職種に信頼と安心感を与えることが大切であることを学んだ。
そして手術中は予期せぬ変化も起こるうるため、
看護師は柔軟に対応できる能力が求められることを学んだ。