看護 急変時対応

急変時の自己学習

急変時にすぐに対応できるように自分で勉強し、デモンストレーションを作成しました。
参考にしてください。

 

 

共通した急変時対応

 

@訪室時に患者の異変を発見。

 

「○○さん、○○さん、わかりますか。」患者の肩を叩きながら、患者に問いかける。

 

すぐに気道確保・呼吸確認・脈拍触知。すぐにスタッフコールにて応援要請。

 

 

Aスタッフコールにて人・物を集める。

 

「○○さんの反応がありません。救急カート・モニターと人を集めてください。」

 

ナースコールを押すと同時に気道確保・呼吸確認・脈拍触知。すぐに胸骨圧迫開始。

 

 

B緊急カート・モニターが届いたら、酸素接続しBVMで酸素投与開始。

 

 モニター装着し、モニターチェック・バイタルサインチェックをする。

 

 

C科長(当直科長)、主治医(当直医)、家族への連絡

 

 

Dリーダーはメンバーに役割を分担する。

 

メンバーはリーダーの指示に従って動く。

 

 

E電子カルテの用意(患者の情報収集)

 

 

 

蘇生時の役割分担

 

@ リーダー

 

A 気道管理

 

B 胸骨圧迫

 

C 除細動器の操作と電気ショック

 

D 静脈路の確保と薬剤の投与

 

E 各手技の介助

 

F 記録係

 

G 家族ケア

 

 

 

急変時のために事前に行っておくこと

 

・救急カートの物品点検・薬剤の確認

 

・ベッドサイドの酸素・空気・吸引の圧確認

 

・事前のシナリオセッション

 

・良質な胸骨圧迫ができるよう練習

 

 

 

 

[問1]肺血栓塞栓症(PI)

 

病態:静脈の血栓が肺動脈に運ばれ、肺動脈が塞栓状態を引き起こす疾患。肺動脈の塞栓によって静脈血は右室、右房に停滞し、右室拡大、心拍出量の低下が起こり、重症例では短時間にショック状態から心肺停止に至る。しかし、発症直後に適切な診断・治療を行えば後遺症なしに回復が可能である。入院患者の発症も多く、再発することもあるので、予防策を講じることが大切である。

 

誘因:・長期臥床や手術後の安静期間後に歩行を再開したときに起こりやすい。

 

   ・長時間の座位(長時間の飛行機搭乗など)でも起こりやすい。

 

   ・カテーテル留置、四肢麻痺、肥満、がん(肺がん、胃がん、白血病など)、経口避妊薬の長期使用など。

 

症状:胸痛・血痰・頻脈・胸部苦悶、血痰、喀血、意識消失、チアノーゼ

 

検査:胸部X線で血管陰影減少、血液ガスでPaO2低下、LDH、AST上昇

 

診断:・動脈血ガス分析:PaO2低下、A-aDO2開大、PaCO2低下

 

   ・血液検査で、FDP上昇、D-ダイマー上昇を認め、胸部造影CTで肺動脈内に血栓

 

    を認めれば診断が確定する。

 

   ・早期診断が予後に大きく影響する。  

 

治療:酸素投与、抗凝固療法、血栓溶解療法

 

 

 

例題への対応:トイレでショック状態になっている患者を発見したときは、すぐにスタッフコールを押し、人・緊急カートを用意する。可能であればベッドに移動し気道確保・BVMにて酸素投与開始する。Drにて血液ガス採取してもらう。(ベッド移動困難であれば、酸素ボンベにてその場で、気道確保・酸素投与を行う。)血痰や喀血があれば吸引を行う。

 

ショック状態のときは、カテコラミン投与や経皮的人工心肺補助装置(PCPS)などで早急に対応する。

 

 

 

 

[問2]下腿コンパートメント症候群

 

病態:筋膜でおおわれる筋区画(コンパートメント)内部の圧が浮腫、出血などのために亢進することによって生じる。

 

症状:持続する疼痛、病変部より末梢での脈拍の触知不能、知覚異常、運動麻痺・患肢末梢の蒼白が出現する。

 

 

 

例題への対応:患肢の高挙による安静の保持、冷罨法。

 

主治医(当直医)に報告し、ギプスカットまたはかつ(そして割り箸をはさむ)を入れてもらう。それでも改善しない場合、速やかに手術的に筋膜を切開し減圧を図る。

 

観察:疼痛・腫脹・知覚障害・脈拍の消失などを注意して観察する。

 

 

 

 

[問3]アナフィラキシーショック

 

病態:薬物や食物など、さまざまな抗原によって感作された生体が、再びその抗原にさらされたとき、抗原が肥満細胞や好塩基球に固着した抗体と反応する。人間の場合はIgE抗体で、これを介した抗原抗体反応ということである。

 

症状:抗原抗体反応により、炎症反応と同様に血管拡張、血管透過性亢進をきたす。最初は、かゆみ、息苦しさなどが出現し、進行すると主に静脈系が著しく拡張して、相対的循環血液量減少に陥る病態である。

 

 

 

各種ショック時の輸液/薬剤

出血性ショック ・細胞外液製剤-乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液

 

・代用血漿製剤-ヘスパンダー・低分子デキストラン

 

・血液製剤-加熱人血漿・新鮮凍結血漿

心原生ショック フォレスターV:乳酸リンゲル液+ドブタミン・ドパミン

 

フォレスターW:利尿薬・血管拡張薬・ドブタミン・ドパミン

敗血症性ショック ・細胞外液製剤-乳酸加リンゲル液

 

・ドパミン・ノルアドレナリン

アナフィラキシーショック ・ステロイド剤・抗ヒスタミン薬

 

・エピネフリン

神経原性ショック ・細胞外液製剤-乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液

 

・硫酸アトロピン・イソプロテレノール

 

 

例題への対応:

 

ショック状態の患者を発見したら、すぐにスタッフコールを押し、人・緊急カートを用意する。薬剤を中止する。酸素療法にて低酸素を予防する。Drに指示を仰ぎ、アドレナリンの投与を行い、大量輸液を行い循環の補助に努める。心停止まで陥ってしまった場合は、大量のアドレナリン静脈内注射を行う。気管支攣縮が強い場合は、ベネトリン吸入などを行う。症状が落ち着き、Drに報告し胃洗浄が必要なら準備する。

 

 

 

アドレナリン(エピネフリン):心不全治療薬、昇圧薬(カテコラミン系昇圧薬)

 

特徴:副腎髄質ホルモン、強心作用、血管の末梢血管抵抗を増加し、血圧上昇、気管支筋弛緩作用。

 

適応:気管支喘息、百日咳の気管支痙攣の緩解、局麻薬の作用延長、手術時の局所出血、急性低血圧、ショック時・心停止の補助治療、虹彩癒着防止。

 

禁忌:ハロゲン含有吸入麻酔薬、ブチロフェノン・フェノチアジン系薬、α遮断薬、カテコラミン製剤、アドレナリン作動薬、狭隅角や前房が浅く眼圧上昇

 

0.3~0.5mg(1000倍希釈)を15~20分ごとにくり返し投与することが一般的。

 

 

 

 

[問4]低血糖

 

低血糖の原因

 

糖尿病治療薬 インスリン、スルフォニルウレエア剤、速効型インスリン分泌刺激剤
糖尿病治療薬以外の薬剤 サリチル酸製剤、キノロン系抗菌剤、ST合剤など
ホルモン分泌不全 グルカゴン、コルチゾール、カテコラミン、成長ホルモン
インスリン産生腫瘍 インスリノーマ
種々の内科疾患に伴うもの 肝硬変、腎不全
胃切除後 ダンピング症候群
アルコール 大量飲酒後

 

 

 

例題への対応:

 

@すぐにスタッフコールを押し、人・緊急カートを用意する。

 

モニター装着し、モニターとバイタルサインチェック行う。

 

(昏睡状態であるため、必要であれば以下の低血糖への対応と同時にBLSを行う。)

 

A延食のため低血糖になったと考えるため血糖測定を行い、また低血糖症状である悪心(えずきはないか)、冷や汗、顔面蒼白、動悸、四肢振戦を観察し、低血糖による昏睡であるか確認をする。

 

A電子カルテにて低血糖指示確認、Dr到着までに静脈血管確保する。

 

 

 

以下の事項をDrのもとに行う。

 

・呼吸・循環の観察を継続しながら、ブドウ糖、グルカゴン投与を行う。

 

・ブドウ糖を投与した場合、10〜15分で回復しなければ、大量の糖分投与を行う。

 

・グルカゴンは、投与してから20分程度で効果が現れ、約1〜2時間持続する。

 

・すぐに投与できない場合は、砂糖を口腔内に塗りつけることも(水分を用いると誤嚥する。)

 

血糖値回復までにじかんを要した場合、低血糖により、脳浮腫が発生している可能性があります。最初の糖補正から30分以上経過し、血糖値が回復しているにもかかわらず意識回復が不良な場合には、その可能性が高いといえる。この場合は、コートリル、デカドロンの投与、マンニットール、グリセオールの投与が行われます。

 

 

 

 

[問5]下血

 

病態:上部消化管(食道・胃・十二指腸)由来の出血が便に出ることで、黒色便、タール便とほぼ同じ同義である。上部消化管出血では出血の勢いが強いときは吐血となるが、勢いが弱いと吐血は起こさずに下血がみられる。

 

 

食道 食道静脈瘤、マロリー・ワイス症候群、逆流性食道炎、カンジダ性食道炎、食道がん
胃・十二指腸 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、胃静脈瘤、毛細血管拡張、胃がん、胃粘膜下腫瘍
膵・肝 慢性膵炎、肝腫瘍
小腸 小腸腫瘍、クローン病、小腸潰瘍

 

 

例題への対応:

 

すぐにスタッフコールを押し、人・緊急カートを用意する。

 

モニター装着し、モニターとバイタルサインチェック行う。

 

主治医(当直医)に血圧、下血量、症状を報告。

 

Dr到着まで、血液循環量低下に伴い、低血圧が予測されるため、下肢ギャッチアップ、輸液全開。酸素投与開始。血圧の持続測定設定。輸血準備。静脈路確保20Gサーフロ留置。

 

吐血の可能性もあるため、口腔内チェックし必要時吸引する。

 

緊急内視鏡検査(内視鏡的止血術)の準備を行う。

 

ベッド周りの準備、モニターをスタンドから外しベッドに乗せる、点滴棒、酸素ボンベ用意。

 

 

 

 

[問6]窒息(気道異物)

 

病態:窒息とは、何らかの原因で気道が閉塞することをいう。いずれも全身への酸素の供給が低下し、中枢神経系が低酸素状態にさらされ、意識を失い、呼吸が止まり、最後に心臓が止まる。

 

症状:チョークサイン、チアノーゼ、音のない咳、発声できない、自発呼吸の有無

 

・無呼吸に陥った場合、1分前後で意識消失

 

・3分で脳障害

 

・数分〜20分以内に心停止

 

 

 

例題への対応:

 

すぐにスタッフコールを押し、人・緊急カートを用意する。

 

気道確保・すぐに吸引できる準備を行い、吸引する。酸素投与。

 

心肺停止の場合は、すぐに胸骨圧迫開始。モニター装着し、バイタルサインチェック行う。

 

 

 

 

 

 

 

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